これまで英会話スクールといえば都心の駅近くなどに教室を構え、一人の講師が多人数の生徒を受け持つレッスン型の教室が主流でした。しかし最近では、コロナの影響もあり、教室に通わずにPCやスマートフォンで講師と会話するオンライン形式の授業や、電話でのレッスンが広がっており、英会話を学ぶ環境が変化しています。
また、英語を学ぶ理由も時代とともに多様化しています。かつては転職や留学を目的とした英語学習者が中心でしたが、大学入試制度改革や小学校での英語必修化といった教育カリキュラムが変化したことや、訪日外国人観光の増加したことによって英会話スキルがさらなるビジネスチャンスになっていることなどにより、英会話を学びたい人の年齢や職業は幅広くなっています。多様化するニーズに合わせて英会話スクールも様々なコースを用意するようになり、自分にあった英会話スクールをどうやって選べばよいのか、誰のどんな意見を参考にすべきなのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
英会話力の向上で大切なことは、勉強を続けられることです。一般的に、英語の習得にかかる時間は2500時間から3000時間程度といわれています。中学生から大学生の間に約800時間勉強するため、その分を差し引くと1700時間以上の学習時間が必要となります。日本人の平均労働時間が1700時間ですので、仕事の1/3程度の時間を英会話学習に費やすと、3年ほどかかる計算になります。
もちろん、学習が進むにつれて効率よく学ぶことができるようになるため、実際にはもっと短い時間で習得できることも考えられます。自分にとって続けやすく、取り組みやすい学習方法を選択することで、目標達成はグッと近づくことでしょう。
どのようなスクールが継続しやすいかは人によって異なります。ここでは英会話スクールを比較検討する際はどんな所を見ればよいか、ポイントを紹介します。
◎レッスン形式
英会話スクールのレッスン形式には、主に個人対個人で行うプライベートレッスン形式、複数名(少人数または大人数)の生徒を講師が受け持つグループレッスン形式があります。
とにかくアウトプットの機会を増やしたい人はプライベートレッスン、他の人のトークを聞きながら学びたい人や、生徒同士の交流を重視したい人などはグループレッスンが向いています。
◎費用
英会話スクールの費用は主にレッスン形式によって異なります。グループレッスンであれば、1か月あたり1万円から2万円程度が相場です。マンツーマンレッスンの場合は、1回40分から60分のレッスンで6000円から1万円程度になります。一人のアウトプットの時間が多いほど、費用が高くなる傾向にあります。
◎教材
どのような教材を使っているのかも、英会話スクールの選びでは重要です。世界中の英会話スクールで使用されている教材を使う所もあれば、独自の教材を使う所や、教材を使用せずにとにかく会話をする所もあります。自分と教材の相性は学習効率に大きく影響しますので、どのような教材を使っているか、必ず確認することをお勧めします。
◎講師
どのような講師から学ぶのかは、英会話スクール選びの中でもとりわけ重要なポイントです。自分のレベルも考慮して、学びたい講師を選びましょう。初心者の方は日本人バイリンガルの、日本人の英会話指導を得意とする講師から学ぶことをお勧めします。すでに一定程度英語に慣れている人は、ネイティブの講師を選ぶのがよいでしょう。ビジネスで英語を使う方は、自分が訪問する予定の地域出身の講師を選び、地域独特の発音や単語に慣れることを目指すなど、英語を話すことだけでない総合的なコミュニケーションスキルを磨くことで、より効率的に英会話を習得することができます。
◎通いやすい立地(またはオンライン)
継続的な英会話学習のためには、英会話スクールの場所も重要な要素です。定番なのは自分の通勤・通学経路付近にある英会話スクールや、生活エリアの中から選ぶことですが、昨今はオンライン型のスクールも増加しています。日ごろ忙しく、なかなか決まった時間に通えないという人は、オンラインスクールという選択も有効です。ライフスタイルと相談しながら決めると良いでしょう。
◎短期間で英語を学習するには
海外赴任や留学を控えているなどの理由で、短期間で英会話力をアップさせたい人は「コーチング英会話」がお勧めです。コーチング英会話とは、専任の英語コーチが生徒のレベルや目標に合わせて学習計画を立案し、レッスン以外の時間もLINE通話やメールで相談を聞いてくれたり、カウンセリングを通じてモチベーションアップを図ってくれたりと、生徒を手厚くサポートする英会話スクール形式です。パーソナルトレーナー付きのダイエットのように、短期間で英会話力を向上させたいという強い気持ちに応えてくれる、優秀な講師が揃っています。一般的な英会話スクールよりも費用は高くなりますが、短期集中で頑張りたい人や、プロにスケジュール管理を任せたい人、英会話力を高めた後で本当にやりたいことに時間を使いたい人は、コーチング英会話を選ぶとよいでしょう。
◎教育訓練給付制度
教育訓練給付制度とは、働きながら主体的にスキルアップを目指す社会人(※)を国がサポートする制度です。この制度を上手に活用することで、英会話スクールにお得に通うことができます。厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了すると、その費用の一部が支給されます。教育訓練給付制度のうち、英会話スクールの受講のために活用できるのは一般教育訓練給付金です。この場合、10万円を上限として受講費用の20%が支給されます。受講費用の20%が10万円を超える場合は10万円が支給され、4000円以下の場合は支給対象外となります。
◎一般教育訓練給付金の対象者は?
教育訓練給付制度を初めて利用する場合は、受講開始時点で雇用保険に通算で1年以上加入している方が対象となります。
既に何らかの教育訓練給付制度を利用したことがある場合は、受講開始時点で雇用保険の加入期間が前回の受講開始日から3年以上ある方が対象です。退職している方については、離職前に雇用保険に通算1年以上の加入期間があり、離職した日の翌日から受講開始までが1年以内であれば給付制度の対象となります。上記の条件を満たしていれば、パート・アルバイトや派遣労働者の方も支給を受けることが可能です。
◎給付金を得られる英会話スクールは?
給付金の支給を受けるためには、厚生労働大臣の指定を受けたコースでなければいけません。具体的な対象講座は、教育訓練給付制度[検索システム]で検索が可能です。英会話スクールに直接連絡し、教育訓練給付制度の対象コースがあるかどうかを質問してもよいでしょう。
厚生労働省 教育訓練給付制度の詳細はこちら
英会話力を効率よく伸ばすためには、自分のどの部分をどこまで伸ばすのか、そのためにどうやって伸ばすのか、とブレイクダウンしながら計画立てて取り組む必要があります。
◎目標を明確にする
まずは、「スクールに通ってどうなりたいか」を考えましょう。あなたが英会話力を伸ばしたい理由は何でしょうか?友人を作りたい、年収アップの手がかりとしたい、様々あると思いますが、ここでは英語を使ってどうなりたいかよりも、どんな英会話力をいつまでに身に着けたいかを考えるとよいでしょう。「3か月後には英語での10分間のプレゼンを資料なしで話せるようになる」や「半年後、海外出張時に簡単な雑談ができるようになる」など、取り組み期間を含む形で、自分がなりたい姿を明確にすることが学習計画を立てる第一歩となります。また、具体的な将来の自分の姿を想像することはモチベーションアップにも繋がります。
◎自分の課題を明確に
具体的な目標を立てられたら、次は自分の課題は何か?を考えます。目標に対して、足りていないものはスピーキング力でしょうか、それともリスニング力でしょうか。スピーキング力が課題だとしたら、それは発言を考える瞬発力なのか、ボキャブラリーのバリエーションなのか、文法なのか…と、細かく課題を掘り下げましょう。こうすることで、それぞれの課題に合わせた対策を立案できるようになります。かつて、近代哲学の祖であるデカルトは「困難は分割せよ」と言い、マイクロソフトの共同創業者のビルゲイツは「問題を切り分けろ」と言いました。英会話力を向上させたいという大きな目標を、小さな課題に切り分けることで、効率よく取り組むことができるでしょう。
◎アウトプットの仕方を学ぶ
英会話はコミュニケーションの技術です。相手にとって理解しやすい話し方を身に着けることは、日本語であれ英語であれ、コミュニケーション力を向上させるための必須事項です。同じ文章、単語、発音であっても、会話の仕方や表情を変えるだけで相手への伝わり方が大きく変わることは、これまでの生活の中で体感してきたことではないでしょうか。沢山の単語やフレーズを覚えるだけでなく、相手に伝わるアウトプットの仕方=ネイティブがどのように会話をしているのかを知ることで、より効率よく英会話力を向上させることができます。
◎英会話の息遣いを身に着ける
英会話の息遣いの基本は「たくさん息を吸って、たくさん吐く」です。ネイティブの話し方を聞いていると、一つの文章を切らずに一気に話し、もし詰まった場合も、必ず[ah~]や[uh~]と、声が繋がるように話していることに気づくでしょう。また、ネイティブは、文章と文章の間で「ハァー」と大きく息を吸い込みます。これはたくさん吸うために息継ぎをしているのですが、息継ぎの音を相手に聞かせることによって、この後も話が続くということを伝える役割があります。何かを発言しようとする際も、この「ハァー」という息継ぎの音を出すことで会話のバトンを受け取ることができます。日本語での会話でいう、「あの…」という切り出し方に近いものと思っていいでしょう。仮に会話のバトンを受け取れなくても、何かを言おうとしたという合図が伝わるため、「そういえばさっき何か言おうとしたよね?」と振ってもらうことができます。
◎相槌を求めず、どんどん話す
日本人は、相手に気を使ってしまい、話の途中で相手が相槌を打てるように間を作る傾向があります。文と文の間で、相手に目をやり、相槌を促すように合図を振ってしまうと、ネイティブにとっては質問をされているように感じます。その際、語尾を上げながら話しがちなことも、余計にそのような印象を与える原因となってしまいます。一方、ネイティブの話し方は日本人からすると延々と話しているように感じる場合があります。まるで自分で自分に話しかけているような、お経のようにいつ終わるのかわからないような話し方が、実はネイティブらしい話し方なのです。まずは、自分の言いたいことを、自信をもって話しきることを目指しましょう。
◎音節<シラブル>を意識し、ゆっくりと話す
意外に思われるかもしれませんが、日本語は英語よりも早口です。例えば、Sustainableという言葉を日本語で発音するとサ・ス・テ・ナ・ブ・ルとなり、音節は6個です。一方で英語ではsus・tain・a・bleと、4個の音節しかありません。一つの文字と一つの音が対応する日本語は、英語ネイティブにとってはまるでマシンガンのように、高速で音節が飛び交う言語に聞こえます。音節を意識し、少しゆっくりと話すことを意識することで、より英語らしいリズムで話すことができるようになるでしょう。こうした英会話のコミュニケーション技術は、独学ではなかなか身に着けることは難しいため、英会話スクールなどで実際にアウトプットを繰り返しながら学習するのがよいでしょう。
会話をスムーズに進行させるためには、日常でよく使うフレーズを知っておくことが重要です。
特に慣用表現はあらかじめ知らないと全く意味が理解できず、会話がちぐはぐになってしまいがちです。
シーン別の代表的なフレーズを紹介します。
◎挨拶の際に使用されるフレーズ
What’s up? / How’s tricks? 調子はどう? Hi, Mike.What’s up?
How’s everything? 調子はいかがですか Hello,Mr.Criss.How’s everyting?
Great to see you again またお会いできて嬉しい it’s great to see you again.
Haven’t seen you for ages 久しぶり I haven’t seen you for ages.
Be seeing you また会いましょう I’ll be seeing you.
I’m off それでは(さようなら) I’m taking off now.
Have a good one 良い一日を “Have a good one.” “You too!”
◎挨拶の返答の際に使用されるフレーズ
Couldn’t Be Better!
Can’t complain.
I’m just peachy.
Over the Moon!
I am on Cloud Nine!
I am on Top of the World!
◎お礼の際に使用されるフレーズ
You’ve made my day お陰様でいい一日になったよ Thanks for your kindness.You have made may day.
How thoughtful of you 気を使ってくれて有難う That’s very thoughtful of you.
That’s so kind of you ご親切にありがとう That’t so kind of you to say so.
You shouldn’t have (お土産などを貰って)そんな、よかったのに。ありがとう。 You got me a souvenir? Oh,you shouldn’t have.Thank you.
I am most grateful とても感謝しています I am most grateful for your support.
Thanks a million 本当にありがとう! Hey, thanks a million for your help.
Thank you from the bottom of my heart 心からお礼申し上げます I thank you from the bottom of my heart.
◎お礼の返答で使用されるフレーズ
Don’t mention it
My pleasure
Glad to help
No sweat
It was the least I could do
◎謝罪の際に使用されるフレーズ
My bad.
It was my fault.
I take full responsibility.
I messed up.
I owe you an apology.
I hope you can forgive me.
◎お願いの際に使用されるフレーズ
Could you give me a hand?
Could you do me a favor?
Would you mind helping me, please?
Could you lend me a hand?
I need a helping hand
Could someone help me, please?
◎電話で使用されるフレーズ
Could you spell that for me, please?
‘Im sorry, I didn’t catch your first name.
Would you mind speaking up a bit?